相談支援専門員は、サービス等利用計画の作成、モニタリング、関係機関との連絡調整など幅広い業務を一人で抱えることが多く、担当件数が増えるほど一件あたりにかけられる時間が圧迫されていきます。ここでは生成AI活用を検討する際に確認しておきたいポイントをチェックリスト形式で整理します。
チェック1: 業務のどこに時間がかかっているか把握しているか
「なんとなく忙しい」ではなく、アセスメントのヒアリング内容の整理、計画書の文章化、モニタリング記録の作成のうち、どこに最も時間を取られているかを具体的に把握することが出発点です。多くの相談支援専門員は、面談内容を計画書の文言に落とし込む工程に最も時間を使っています。
チェック2: 面談メモから計画書の文案を作れる仕組みがあるか
面談中に取ったメモやキーワードを入力し、サービス等利用計画の文案のたたき台を生成する使い方は、相談支援業務との相性が良い領域です。文章の型がある程度決まっている書類ほど、AIによる下書き作成の効果が出やすい傾向があります。
本人の意向・家族の意向・支援者の見立てを分けて入力すると、AIが生成する文案でも三者の視点が混同されにくくなります。入力段階での整理が、出力の質を左右します。
チェック3: モニタリングの振り返りに活用できているか
過去のモニタリング記録を要約し、変化の傾向を把握する補助としてAIを使うことも可能です。長期間担当しているケースほど過去記録の量が増え、読み返すだけでも時間がかかるため、要約機能の恩恵を受けやすい業務です。
相談支援専門員がAI活用でつまずきやすい点
- 制度や支給決定に関わる最終判断までAIに委ねようとしてしまう
- 本人・家族から聞き取った生の言葉を、AIが一般化した表現に置き換えすぎてしまう
- 複数の関係機関とのやり取りの経緯を入力せず、文脈の浅い文案しか得られない
- 多忙な時期にまとめて導入しようとして、覚える余裕がなく定着しない
支給決定やサービス種別の判断など、制度に関わる意思決定はAIの提案をそのまま採用せず、必ず相談支援専門員自身の専門的判断で確定させる必要があります。
チェック4: 他事業所・行政とのやり取りの記録が整理されているか
関係機関との連絡調整の履歴が散在していると、担当者交代や引き継ぎの際に大きな負担になります。やり取りの経緯を時系列で整理し、必要な情報をすぐに取り出せる状態にしておくことは、AI活用以前の土台として重要です。
| 業務 | 負担の大きさ | AI活用の相性 |
|---|---|---|
| サービス等利用計画の文章化 | 高い | 高い |
| モニタリング記録の要約 | 中程度 | 高い |
| 支給決定に関わる判断 | 高い | 低い(人が判断すべき領域) |
チェック5: セキュリティ体制を確認したか
相談支援専門員が扱う情報は、本人の生活歴や家族関係など特に機微な内容を含みます。導入前にはセキュリティに関するページを確認し、情報の取り扱いについて事業所として合意形成しておくことをおすすめします。
上記のチェック項目を一通り確認し、自事業所にとって優先度が高い業務から順に着手することで、無理のないAI活用が実現しやすくなります。
監修
株式会社オルデンティアコーポレーション 福祉DXコンサルタント
福祉施設のDX・生成AI活用を専門に支援。本記事は現場の実務課題に基づき執筆・監修しています。