就労継続支援B型事業所では、利用者数が多い一方で職員数が限られていることが多く、個別支援計画の作成が後回しになりがちです。ここでは「これまでのやり方」と「生成AIを取り入れたやり方」を比較しながら、B型事業所ならではの効率化のポイントを整理します。
B型事業所の個別支援計画が重くなりやすい理由
就労継続支援B型では、作業内容や工賃、体調や生活面での配慮事項など、確認すべき項目が多岐にわたります。さらに利用者数が20名、30名を超える事業所も珍しくなく、サービス管理責任者一人あたりの負担が大きくなりやすい構造があります。
| 項目 | 従来のやり方 | 生成AIを取り入れたやり方 |
|---|---|---|
| アセスメント整理 | 手書きメモやExcelに都度まとめる | 箇条書き入力からAIが要約案を作成 |
| 計画書の文章化 | ゼロから文章を作成(1件30〜45分) | AIの下書きを修正(1件10〜20分) |
| 工賃・作業内容の記載 | 担当者の記憶や個別ファイルを確認 | 事実情報は職員が入力、文章化のみAIが補助 |
| 担当者会議録 | 会議後に手書きメモから清書 | 要点メモからAIが議事録形式に整形 |
生成AIに向いている作業・向いていない作業
すべての作業をAIに任せられるわけではありません。以下のように役割を切り分けることが、質を落とさず効率化する鍵になります。
- 向いている作業:文章の整形、表現の統一、会議録の清書、定型的な言い回しの生成
- 向いていない作業:工賃額の計算や確認、体調変化の医学的な判断、本人の意思確認そのもの
B型事業所では利用者ごとに作業内容や得意・不得意が異なります。テンプレート的な文章になりすぎないよう、本人の作業への取り組み方や表情の変化など、担当職員ならではの気づきを一言加えるだけで、計画書に厚みが出ます。
導入時に起きやすい失敗パターン
就労系サービスでB型特有の失敗としてよく聞かれるのが、「工賃計算や出勤実績など、事実データに関わる部分までAIに任せてしまい、数字の誤りに気づかないまま提出してしまう」というケースです。生成AIは文章表現には強い一方、正確な数値の把握や計算を保証するものではありません。
工賃・出勤日数・作業実績など、数値が関わる項目は必ず原本データ(出勤簿・工賃台帳など)と突き合わせて確認してください。AIが生成した数値をそのまま転記することは避けるべきです。
職員間の運用差をなくすために
B型事業所では非常勤職員や兼任のサービス管理責任者が計画作成を担うことも多く、担当者によって計画書の質にばらつきが出やすい傾向があります。生成AIを使う際に「事業所として統一したフォーマット・トーン」を事前に決めておくと、誰が作成しても一定水準の計画書に仕上がりやすくなります。
- 本人の希望・目標欄の書き出し方を統一する
- 支援内容の粒度(頻度・具体性)をそろえる
- 専門用語の使い方について事業所内でルールを決める
こうした土台を整えたうえで生成AIを使うことで、単なる時短だけでなく、事業所全体の計画書の質の底上げにもつながります。導入の進め方や実際の機能については以下のページも参考にしてください。
就労継続支援B型は利用者数の多さゆえに、業務効率化の効果が数字として出やすい領域でもあります。まずは計画作成にかかっている時間を洗い出し、どこにAIを組み込めるかを検討することから始めてみてください。
監修
株式会社オルデンティアコーポレーション 福祉DXコンサルタント
福祉施設のDX・生成AI活用を専門に支援。本記事は現場の実務課題に基づき執筆・監修しています。