短期入所(ショートステイ)は、利用者にとって環境が普段と異なる非日常の場であるがゆえに、記録の重要性が通所系サービス以上に高いという特徴があります。数日から長くて数週間という限られた期間の中で、普段の生活状況を知らない職員が支援にあたることも多く、「前回の利用時に何があったか」「自宅ではどう過ごしているか」といった情報の引き継ぎが支援の質を大きく左右します。ここでは、短期入所ならではの記録業務の課題と、生成AIによる解決の方向性をチェックリスト形式で整理します。
短期入所の記録業務が抱える固有の課題
- 利用のたびに担当職員が変わることがあり、情報の引き継ぎが属人化しやすい
- 宿泊を伴うため、夜間帯の様子や睡眠状況の記録も必要になる
- 短期間で退所するため、記録をじっくり作り込む時間的余裕がない
- 家族からの申し送り事項と、実際の滞在中の様子を突き合わせて記録する必要がある
チェックリスト:記録業務の見直しポイント
自事業所の記録業務に生成AIを取り入れる前に、以下の点を確認してみてください。
- □ 前回利用時の記録を、次回利用時にどれくらいの時間で参照できているか
- □ 夜勤帯の職員が日中の情報をすぐに把握できる仕組みになっているか
- □ 家族への報告内容と、内部の支援記録の間で表現の一貫性が取れているか
- □ 記録作成に追われて、利用者本人と向き合う時間が削られていないか
これらの項目に一つでも当てはまる課題がある場合、生成AIによる記録作成支援が効果を発揮しやすい状況だといえます。
過去の利用記録を素早く要約する
短期入所では、同じ利用者が数ヶ月おきに繰り返し利用するケースが多くあります。過去の利用記録が蓄積されていても、担当職員がすべてに目を通す時間を確保するのは容易ではありません。生成AIを使えば、過去数回分の利用記録から「体調面での傾向」「対人関係での特徴」「好みの過ごし方」といった要点を短時間で抽出し、今回の支援にすぐ活かせる形にまとめることができます。
短期入所の受け入れ準備段階で、過去記録の要約を事前に確認しておく運用にすると、初日の支援がスムーズになります。特に複数の職員が交代で対応する場合、要約された情報を共有しておくことで、職員間の情報格差を減らせます。
夜間帯の記録と日中記録の統合
宿泊を伴う短期入所では、夜勤者が記録した睡眠状況やトイレ介助の状況と、日中の活動記録を統合して、24時間を通した支援経過として整理する必要があります。それぞれ別の職員が書いた記録は文体も詳しさもばらつきがちですが、AIによって統一されたフォーマットに整えることで、翌朝の申し送りや家族への報告がスムーズになります。
家族への報告と内部記録の使い分け
短期入所終了時には、自宅での生活に活かせるよう、家族向けに滞在中の様子を報告する機会が多くあります。内部の支援記録がやや専門的・事務的な表現になりがちなのに対し、家族向け報告では平易であたたかみのある表現が求められます。生成AIは、同じ元情報から読み手に応じたトーンの異なる文章を作り分けられる点で、この使い分けの負担を軽減します。
短期入所は利用者にとって環境変化のストレスがかかりやすい場面でもあります。体調や気分の変化に関する記述は、AIによる要約で細かなニュアンスが失われていないか、担当職員が必ず見直す習慣をつけてください。
導入を検討する事業所へ
短期入所を含む複数のサービス種別を運営する事業所では、サービスごとに異なる記録様式への対応状況も選定のポイントになります。詳しくは機能一覧および制度対応ページをご覧ください。
導入までの具体的な流れは導入の流れでご確認いただけます。
監修
株式会社オルデンティアコーポレーション 福祉DXコンサルタント
福祉施設のDX・生成AI活用を専門に支援。本記事は現場の実務課題に基づき執筆・監修しています。