モニタリング報告書は、個別支援計画の実施状況を振り返り、次の支援方針につなげる重要な書類です。生成AIを使えば作成の負担は確かに軽くなりますが、その分「注意すべきポイント」も増えます。ここでは活用の利点と、見落としがちな注意点を整理します。
モニタリング報告書が難しい理由
モニタリング報告書は、単なる記録の集計ではなく「計画時の目標に対して、実際にどうだったか」を評価し、必要に応じて計画の見直しにつなげる書類です。過去数か月分の支援記録を振り返り、変化や課題を言語化する作業には、それなりの時間と集中力が必要になります。
生成AIを使う利点
- 複数回の支援記録を要約し、傾向をまとめる下書きを作成できる
- 目標に対する達成度の記述を、読みやすい文章に整理できる
- 次期計画への申し送り事項を簡潔にまとめられる
モニタリング前に、対象期間の支援記録から気になる出来事や変化を職員間で共有しておくと、AIに渡す情報の質が上がり、より的確な下書きが得られます。
注意点1:要約の「抜け落ち」に気づきにくい
生成AIに数か月分の記録を要約させると、重要な出来事が意図せず省略されてしまうことがあります。特に「回数は少ないが重要な出来事」(通院回数の増加、家族状況の変化など)は、頻度が低いために要約からこぼれ落ちやすい傾向があります。
注意点2:達成度の評価をAIに任せきりにしない
「目標が達成できたか」という評価は、本来支援者の専門的な判断に基づくものです。生成AIはあくまで文章の整形を担う立場であり、達成度の評価そのものを委ねるべきではありません。
生成AIが作成した「達成度〇〇%」のような表現をそのまま採用すると、根拠のない数値が報告書に残ってしまう危険があります。評価の結論は必ず職員が下し、AIには文章表現の補助にとどめてもらいましょう。
注意点3:関係機関への共有を前提に確認する
モニタリング報告書は相談支援専門員や医療機関、学校など複数の関係者に共有されることがあります。表現の誤りや事実誤認があった場合の影響範囲が広いため、提出前のダブルチェック体制を整えておくことが欠かせません。
| 確認項目 | 確認する人 | 目的 |
|---|---|---|
| 事実関係の正確性 | 担当支援員 | 記録との整合性確認 |
| 評価・判断の妥当性 | サービス管理責任者 | 専門的判断の担保 |
| 表現・言い回し | 作成担当者 | 関係機関への伝わりやすさ |
注意点4:個人情報の入力範囲を決めておく
モニタリング報告書には、家族構成や病歴など機微な情報が含まれることがあります。生成AIツールに入力する情報の範囲について、事業所内で事前にルールを定めておくことが望まれます。
モニタリング報告書は「振り返り」の質がそのまま次の支援の質に直結する書類です。生成AIによる時短のメリットを活かしつつ、評価・判断の部分は人が責任を持つという役割分担を徹底することが、質を落とさない活用のコツです。
監修
株式会社オルデンティアコーポレーション 福祉DXコンサルタント
福祉施設のDX・生成AI活用を専門に支援。本記事は現場の実務課題に基づき執筆・監修しています。