ケース会議やサービス担当者会議の議事録作成に生成AIを使う事業所が増えています。録音データを自動で文字起こしし、要約までしてくれるツールは業務負担を大きく減らしますが、会議の場には利用者本人やその家族、関係機関の職員など複数の関係者が同席するため、「誰の同意を、どのタイミングで、どう取るか」という整理が必要になります。この記事ではその考え方を場面ごとに解説します。
なぜ同意取得が必要なのか
会議での発言には、利用者の心身の状況や生活状況、家族関係など要配慮個人情報が含まれることが多く、それを録音し、AIサービスに送信して文字起こし・要約させる行為は、個人情報の取得・利用・提供のプロセスに関わります。参加者が「録音されている」ことを知らないまま会議が進み、後からAIツールで処理されていたと知ると、信頼関係を損なう原因にもなります。
場面別:誰にどう同意を取るか
- 利用者本人が参加する会議:録音・AI処理の目的を説明し、口頭または書面で同意を確認する
- 家族が同席する会議:家族自身の発言もAIに処理されることを説明する
- 他事業所・関係機関の職員が参加する会議:所属先の情報管理ルールと齟齬がないか、事前に確認を依頼する
- 本人の判断が難しい場合:成年後見人や家族など、意思決定を支援する立場の人に説明し理解を得る
会議の冒頭で「録音してAIで議事録を作ります」と一言添えるだけでは、要配慮個人情報の取得についての説明としては不十分とされる可能性があります。何のために録音するか、データがどこに送信され、いつまで保存されるかまで含めて説明することが望ましいです。
同意取得の実務パターン
| 方法 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 会議冒頭の口頭説明+同意 | 手間が少なく、その場で完結する | 後から同意の有無が記録に残りにくい |
| 事前の書面同意(重要事項説明書等に条項追加) | 証跡が残り、繰り返しの会議でも運用しやすい | 初回の様式改定に手間がかかる |
| 会議案内メールへの明記+反応確認 | 関係機関との会議で運用しやすい | 返信がない場合の扱いを決めておく必要がある |
録音・要約データの保存と削除
同意を得て録音・要約したデータも、目的を終えたら適切な期間で削除する運用が望ましいとされています。議事録の確定版を残す一方、元の録音データや文字起こしの中間データはいつまで保持するかを事業所内であらかじめ決めておくと、トラブルを避けやすくなります。
同意取得を毎回口頭だけに頼ると、担当者によって説明の質にばらつきが出ます。「録音・AI利用についての説明文」を1枚のカード化して会議冒頭に読み上げる運用にすると、誰が進行しても同じ水準で説明でき、後から「言った言わない」のトラブルを防げます。
ツール選定時のチェックポイント
議事録作成AIを選ぶ際は、録音データの取り扱い方針、要約結果の編集のしやすさ、確定した議事録の共有範囲を制御できるかを確認しましょう。Hope Care AIのようなツールでは、機能一覧で議事録作成の流れを確認でき、セキュリティのページでデータの保存・削除に関する設計を確認できます。
会議運営そのものを見直す機会に
生成AIによる議事録作成の導入は、単なる効率化にとどまらず、会議での個人情報の扱い方そのものを見直すきっかけにもなります。同意取得の手順を整えることは手間に感じられるかもしれませんが、一度型を作ってしまえば、以後の運用は驚くほどスムーズになります。導入の流れのページでは、こうした運用設計の相談についても紹介しています。
監修
株式会社オルデンティアコーポレーション 福祉DXコンサルタント
福祉施設のDX・生成AI活用を専門に支援。本記事は現場の実務課題に基づき執筆・監修しています。