個別支援計画の作成は、多くの相談支援専門員・サービス管理責任者にとって「わかっているけど時間が取れない」業務の代表格です。アセスメント、モニタリング、計画書本体、担当者会議の記録――ひとりの利用者につき何枚もの書類を作り、それを利用者数分繰り返す。ここでは生成AIを使って作成時間を実際に短縮するための手順を、現場でそのまま使える形で紹介します。
まず時間がどこに消えているかを可視化する
「計画作成に時間がかかる」という感覚だけで改善に着手すると、効果が出にくくなります。多くの事業所で時間を分解すると、次のような内訳になっています。
- アセスメント情報の整理・要約:計画1件あたり20〜30分
- 目標・支援内容の文章化:1件あたり30〜45分
- 表現の言い回し確認・誤字脱字チェック:1件あたり10〜15分
- 担当者会議録の清書:1件あたり15〜20分
合計すると1件あたり1時間半近くを要していることも珍しくなく、月20件担当していれば30時間、つまり丸4日分の稼働がここに費やされている計算になります。生成AIが特に威力を発揮するのは、この中の「文章化」と「清書」の部分です。
ステップ1:アセスメント情報を箇条書きでまとめる
いきなり生成AIに丸投げするのではなく、まず支援員が把握している事実(本人の希望、家族の意向、現在の生活状況、課題)を短い箇条書きで入力します。ここが雑だと、AIの出力も的外れになりやすいため、最初の情報整理こそ人の手で丁寧に行うのがコツです。
ステップ2:目標と長期・短期の支援内容をAIに下書きさせる
箇条書きの情報をもとに、生成AIに「個別支援計画の長期目標・短期目標・具体的な支援内容の下書きを作成してほしい」と依頼します。ここで出てくる文章はあくまで叩き台であり、そのまま提出用にするものではありません。
生成AIの出力は「本人の言葉」ではなく「支援者側の一般的な言い回し」になりがちです。本人・家族の実際の発言や希望を伝える表現は、必ず職員自身が手直しし、血の通った計画書に仕上げることが重要です。
ステップ3:表現の統一とチェック
複数の職員が計画書を作成していると、文体や粒度がバラバラになりがちです。生成AIに「この事業所の既存の計画書のトーンに合わせて整えてほしい」と依頼すると、施設全体での表記ゆれを減らせます。
ステップ4:最終確認は必ず人の目で
生成AIが生成した文章には、実際には確認していない内容が紛れ込む可能性があります。特にサービス内容や頻度、日付といった事実情報は、必ずサービス管理責任者が原本データと突き合わせて確認してください。
生成AIはもっともらしい文章を作るのが得意な分、事実と異なる支援内容を書いてしまうことがあります。計画書は法的な書類でもあるため、生成された文章を鵜呑みにせず、必ず一次情報と照合するプロセスを業務フローに組み込んでください。
導入前後でどれくらい変わるか
ある通所系事業所の例では、計画作成の「文章化」工程が45分から15分程度に短縮され、月間では10時間以上の稼働削減につながったという声もあります。もちろん事業所の規模や利用者の状態像によって差はありますが、「ゼロから書く」のではなく「AIの下書きを直す」働き方に変えるだけで、体感的な負担はかなり軽くなります。
Hope Care AIでは、こうした個別支援計画や記録業務を想定した機能を用意しています。導入の流れや具体的な使い方については、下記のページもあわせてご確認ください。
時間のかかる書類作成を仕組みで変えることは、職員の残業削減だけでなく、利用者と向き合う時間を増やすことにもつながります。まずは自事業所のどの工程に時間がかかっているかを洗い出すところから始めてみてください。
監修
株式会社オルデンティアコーポレーション 福祉DXコンサルタント
福祉施設のDX・生成AI活用を専門に支援。本記事は現場の実務課題に基づき執筆・監修しています。