支援記録は毎日のように書く業務でありながら、「何をどこまで書けばいいのか」に迷いやすい書類でもあります。ここでは生成AIを使って支援記録を時短しながら、質を落とさないための具体的なステップを紹介します。
ステップ0:そもそも支援記録に何を求められているかを確認する
時短の前にまず押さえておきたいのが、支援記録は「何をしたか」だけでなく「利用者の様子・変化・支援者の判断」を残す書類だということです。事実の羅列だけでは、後から振り返ったときに支援の根拠として弱くなってしまいます。
ステップ1:記録の材料をメモとして残す(その場でOK)
支援中や支援直後に、箇条書きで簡単なメモを残しておきます。丁寧な文章を考える必要はなく、次のような形で十分です。
- 10時:レクリエーション参加、笑顔が多かった
- 11時半:昼食時にむせこみあり、様子観察継続
- 14時:家族から電話、来週の通院について相談
ステップ2:生成AIにメモを渡して文章化させる
このメモを生成AIに渡し、「支援記録として読みやすい文章にしてほしい」と依頼します。ゼロから文章を考えるより、事実のメモから文章を組み立てる作業のほうが圧倒的に早く、しかも表現の抜け漏れが少なくなります。
メモの段階で「時刻・出来事・様子」の3点セットを意識しておくと、AIが生成する文章の質が安定します。逆に抽象的なメモ(例:今日は普通でした)だと、AIも当たり障りのない文章しか作れません。
ステップ3:AIが作った文章を必ず読み直す
生成された文章をそのまま提出するのではなく、次の3点を必ず確認します。
- 事実と異なる表現になっていないか
- 実際には確認していないことが書かれていないか
- 専門用語や事業所独自の言い回しが適切に使われているか
生成AIは文脈を補おうとするあまり、メモにない情報を「それらしく」補完してしまうことがあります。特に体調や事故につながりかねない記述は、必ず職員自身の確認を経てから確定させてください。
ステップ4:定型文をテンプレート化する
毎日繰り返される定型的な記録(バイタル確認、送迎対応など)は、AIに一度良い文例を作らせておき、それをテンプレートとして使い回すことで、さらに時短が可能になります。ただし利用者ごとの個別性が失われないよう、テンプレートの中にも個別の様子を書き込む欄を必ず残すようにしましょう。
時短の目安
1件あたりの記録作成時間は、慣れないうちは通常のやり方とあまり変わらないこともありますが、メモの取り方とテンプレートが整ってくると、1件あたり10分程度かかっていた記録が5分前後まで短縮されることもあります。1日に何十件と記録を作成する事業所では、この差が積み重なって大きな時間の余裕につながります。
支援記録は地味な業務ですが、積み重ねると事業所全体の労働時間に大きく影響します。「メモを取る→AIに文章化させる→人が確認する」という流れを定着させることで、無理のない時短を実現していきましょう。
監修
株式会社オルデンティアコーポレーション 福祉DXコンサルタント
福祉施設のDX・生成AI活用を専門に支援。本記事は現場の実務課題に基づき執筆・監修しています。