情報漏えいは「起きないようにする」対策と同じくらい、「起きてしまった後、最初の数時間・数日でどう動くか」が被害の大きさを左右します。ここでは、生成AI利用中に情報漏えいが疑われた場合の初動対応を、時系列のステップで整理します。
ステップ1:発覚直後(0〜1時間)にやるべきこと
- 気づいた職員は、まず現場の判断だけで対応を進めず、管理者・情報管理責任者にすぐ報告する
- 該当のやり取り(入力内容・出力内容・送信先など)のスクリーンショットやログを、可能な範囲で保全する
- 同様の事象が他にも起きていないか、直近の利用履歴を確認する
- この段階では「誰が悪いか」の追及より「何が、どこまで起きたか」の事実確認を優先する
発覚直後に該当の生成AIサービスの利用履歴を職員が自己判断で削除してしまうと、後の調査で事実関係を確認できなくなります。まずは記録を残すことを優先し、削除や設定変更は管理者の指示のもとで行いましょう。
ステップ2:初動調査(当日〜数日)
この段階では、次の観点を整理していきます。
| 確認項目 | 整理する内容 |
|---|---|
| 対象範囲 | 影響を受ける可能性のある利用者・職員の特定 |
| 情報の内容 | 漏えいした(疑いのある)情報の種類・機微性 |
| 原因 | 設定ミス、誤送信、システム障がい、不正アクセスなどの区分 |
| 拡散範囲 | 外部の第三者が実際にアクセス・閲覧した痕跡があるか |
| 再発可能性 | 同じ原因で他の利用者にも同様の事象が起きうるか |
ステップ3:関係者への連絡
- 法人内部:理事長・施設長等への報告ルートに沿って速やかに連絡する
- 顧問弁護士・専門家:報告義務の要否や対応方針について助言を求める
- 生成AIベンダー:ベンダー側に起因する可能性がある場合、契約上の連絡窓口に事実確認を依頼する
- 指定権者:運営基準等に基づく報告が必要と判断される場合、様式に沿って連絡する
- 利用者・家族:事実関係が一定程度整理できた段階で、誠実に説明する
利用者・家族への説明は「何が起きたか」「現在わかっていること」「今後の対応」を分けて伝えると誠実さが伝わりやすくなります。原因や責任の所在が未確定な段階で断定的な説明をしてしまうと、後で訂正が必要になり、かえって不信感を招くことがあります。
ステップ4:再発防止策の検討
初動対応が落ち着いた後は、次のような観点で再発防止策を検討します。
- 入力可能な情報の範囲を見直す(システム上の入力制限、テンプレート化など)
- 職員のアカウント管理・権限設定を見直す
- 研修を通じて、同様の事象が起きやすい業務フローを職員間で共有する
- 生成AIベンダーとの契約内容やインシデント対応フローを再確認する
平時からの備えが初動の質を決める
実際に事案が発生してから対応フローを一から考えるのでは、初動が遅れがちです。誰が第一報を受け、誰が事実確認を行い、誰が対外的な説明の窓口になるのかを、平時のうちに文書化しておくことが望ましいでしょう。具体的な対応方針の判断については、個別事案ごとに専門家へ相談することをおすすめします。
Hope Care AIでは、万が一の事象発生時にも事実確認がしやすいよう、利用ログの記録機能を備えています。機能紹介やセキュリティのページもご参照ください。
セキュリティのページで詳細をご確認いただけます。
監修
株式会社オルデンティアコーポレーション 福祉DXコンサルタント
福祉施設のDX・生成AI活用を専門に支援。本記事は現場の実務課題に基づき執筆・監修しています。