生産性向上に資するICT導入計画書は、ICT導入によって処遇改善加算の区分要件を満たす際や、各種補助金の申請時に求められる書類のひとつです。「何を導入し、それによってどのような効果を見込むのか」を筋道立てて説明する必要があり、書き慣れていない担当者にとってはハードルの高い書類と感じられがちです。ここでは基本的な構成要素と、審査で見られやすい観点をステップ形式で整理します。
ステップ1: 現状の課題を整理する
計画書の冒頭では、まず自事業所が抱えている業務上の課題を具体的に記載することが求められます。「業務が非効率」といった抽象的な表現ではなく、「記録業務に職員1人あたり1日平均◯分を要している」「請求データの転記作業でミスが月に◯件発生している」といった、可能な範囲で定量的な記載を心がけると説得力が増すとされています。
- 現在の業務フローと、そこにかかっている時間・人員
- 紙・Excel中心の業務における具体的な非効率箇所
- 職員の負担感(残業時間、離職につながる要因など)
- 利用者支援に充てられる時間が圧迫されている実態
ステップ2: 導入するICTの内容を明確にする
次に、導入予定のICTツール・システムの概要を記載します。単なる製品名の羅列ではなく、「どの業務をどう変えるか」を課題と対応づけて説明することがポイントです。生成AIを活用した記録作成支援であれば、「支援記録のたたき台作成にかかる時間短縮」といった形で、ステップ1で挙げた課題との対応関係を明示します。
| 課題 | 導入するICTでの対応 |
|---|---|
| 記録業務に時間がかかる | 生成AIによる記録の下書き作成支援 |
| 請求データの転記ミス | 記録データと請求システムの連携 |
| 情報共有の遅れ | クラウド上での職員間リアルタイム共有 |
ステップ3: 見込む効果を記載する
効果については、過大な数値を掲げるのではなく、実現可能な範囲での見込みを記載することが望ましいとされています。「業務時間が◯割削減される見込み」といった記載をする場合は、その根拠(他事業所の事例、ツール提供元の実績データなど)を併記すると説得力が高まります。
効果の記載を誇張しすぎると、後日の実績報告と乖離が生じ、説明を求められる可能性があります。導入計画書と実績報告は連動して見られる書類であるため、無理のない見込みを記載することが結果的に安全とされています。
ステップ4: 実施体制とスケジュールを示す
誰が導入の責任者になるのか、どのようなスケジュールで導入・運用開始・効果検証を行うのかを明記します。特に職員研修や運用ルールの整備といった「導入後の定着プロセス」まで記載すると、計画の実現可能性が高いと評価されやすくなります。
- 導入責任者・推進体制の明確化
- 導入前の準備期間(マスタ整備、研修など)
- 本稼働開始時期
- 効果検証のタイミング(例:導入後3か月・6か月時点)
計画書は一度作成して終わりではなく、実際の導入プロセスで見直しが必要になることがあります。特にスケジュールは余裕を持たせ、研修期間や並行運用期間を短く見積もりすぎないことが望ましいとされています。
ステップ5: 費用対効果の説明を添える
導入費用と見込まれる効果(業務時間削減、記録の質向上など)を対比させて記載することで、投資判断としての妥当性を示すことができます。金額感が明確でない場合は、見積書や料金プランを根拠資料として添付するとよいでしょう。
ICT導入計画書は、単なる申請のための書類ではなく、自事業所の業務改善の方向性を整理する機会でもあります。Hope Care AIでは、導入を検討される事業所向けに機能や料金体系の情報を公開しています。導入計画書の具体例を検討する際の参考として、機能紹介や特長ページもご覧ください。
制度解説のページで詳細をご確認いただけます。
監修
株式会社オルデンティアコーポレーション 福祉DXコンサルタント
福祉施設のDX・生成AI活用を専門に支援。本記事は現場の実務課題に基づき執筆・監修しています。