共同生活援助、いわゆるグループホームでは、夜間は少人数、時に一人の職員が複数の利用者を見守る体制になることが一般的です。夜間の出来事は翌朝の日勤職員への申し送りが要となりますが、忙しい中での記録は簡略化されがちで、重要な情報が抜け落ちるリスクもあります。この記事では、夜間支援の記録業務に生成AIをどう関わらせられるか考えます。
夜間記録が抱える構造的な難しさ
夜勤者は一人で複数の業務をこなしながら記録をとる必要があり、体調変化や睡眠状況、服薬確認といった項目を漏れなく書き残すことは簡単ではありません。特に緊急対応が発生した夜は、記録が後回しになり、記憶が薄れた状態で翌日以降にまとめて書くという事態も起こり得ます。生成AIに音声メモや簡単な箇条書きを渡し、時系列の記録として整形させる使い方は、こうした負担を和らげる方法の一つとして考えられます。
申し送り内容の整理への活用
夜間の出来事を日勤職員へ的確に伝えるためには、優先度をつけた申し送りが欠かせません。生成AIに夜間の記録を要約させ、特に注意が必要な事項を上位に整理させることで、朝の引き継ぎ時間を短縮できる可能性があります。ただし、体調急変の兆候など医療的判断が関わる内容については、AIの要約だけに頼らず、必ず看護職員や管理者への直接の口頭報告を組み合わせることが欠かせません。
緊急時対応との切り分け
グループホームでは、転倒や体調急変といった緊急事態が夜間に発生することもあります。こうした場面では生成AIによる記録支援よりも、まず利用者の安全確保と関係機関への連絡が最優先です。生成AIはあくまで事後の記録整理や報告書作成の場面で活用し、緊急対応そのものを代替するものではないという位置づけを職員間で共有しておくことが大切です。関連する体制整備については特徴のページでも触れています。
世話人・生活支援員の負担軽減という視点
グループホームの世話人は、家事支援や見守りなど多岐にわたる業務を担いながら記録も行う必要があります。生成AIによって記録作成の時間が短縮できれば、その分を利用者との関わりに充てられる可能性があります。実際にどのような機能が記録業務を支援できるかは機能一覧で確認できます。
情報漏えいリスクへの配慮
夜間の記録には健康状態や行動特性など、特に慎重な扱いが必要な情報が含まれます。個人のスマートフォンなど管理外の端末で生成AIを利用してしまうと、情報管理上のリスクが高まります。事業所として利用するツールやアクセス権限をあらかじめ整理し、セキュリティ面の対策が講じられているサービスを選ぶことが望まれます。
段階的な導入の進め方
夜勤帯は職員数が少なく、新しいツールへの抵抗感も生まれやすい環境です。まずは日勤帯での記録業務から生成AIの活用を始め、職員が使い方に慣れてから夜間帯へ展開するという段階的な進め方が、現場の混乱を避けるうえで現実的です。導入の流れについては導入までの流れを参考にしてください。
まとめ
グループホームの夜間支援記録は、少人数体制ゆえに負担が集中しやすい業務です。生成AIを記録整理や申し送り作成の補助として活用しつつ、緊急時対応や医療的判断は引き続き人が担うという役割分担を明確にすることで、無理のない運用につなげやすくなると考えられます。
監修
株式会社オルデンティアコーポレーション 福祉DXコンサルタント
福祉施設のDX・生成AI活用を専門に支援。本記事は現場の実務課題に基づき執筆・監修しています。