生成AIクラウドサービスを選ぶ際、機能や価格だけでなく「データがどこの国の、どの法律の下で扱われるのか」という、いわゆるデータ主権(データソブリンティ)の視点を持つことが重要になっています。障がい福祉・介護事業所が扱う情報は要配慮個人情報を含むことが多く、この視点を軽視すると想定外のリスクを抱えることになりかねません。
データ主権とは何か、なぜ福祉事業所に関係するのか
データ主権とは、データが物理的に保管されているサーバーの所在地の法律や、その国の政府機関がデータにアクセスできる権限などによって、データの取り扱いが左右されるという考え方です。生成AIサービスの多くは海外の大手クラウド基盤上で提供されており、サーバーの所在地や運営会社の所在国によって、適用される法律が異なります。
「国内に事業所があるベンダーだから安心」とは限りません。国内企業であっても、実際のデータ保管基盤が海外のクラウド事業者である場合、データの越境移転が生じている可能性があります。契約書や利用規約でデータの保管場所を必ず確認しましょう。
選定時に確認したいチェックリスト
- データが保管されるサーバーの所在地(国内リージョンか海外リージョンか)が明示されているか
- 越境移転が発生する場合、個人情報保護法上求められる本人同意や体制整備がなされているか
- 提供元企業の資本関係・親会社の所在国はどこか
- クラウド基盤事業者(インフラ提供元)はどこの国の企業か
- 政府機関からのデータ開示要請があった場合の対応方針が公開されているか
- データの削除・移行(他サービスへの乗り換え)が容易にできる設計になっているか
データ主権リスクの考え方を整理する
| 観点 | 国内完結型サービス | 海外基盤利用型サービス |
|---|---|---|
| 適用法令の見通しやすさ | 国内法のみを前提に整理しやすい | 越境移転に関する追加的な整理が必要になる場合がある |
| 障がい・災害時の対応 | 国内のサポート体制で完結しやすい | 時差・言語の壁が生じる場合がある |
| コスト | 海外基盤に比べ割高になる場合がある | スケールメリットにより低コストな場合がある |
| 機能・精度 | ベンダーの投資規模に依存 | 大手基盤ならではの高い処理性能が期待できる場合がある |
「完全な国産」だけが正解ではない
データ主権への配慮は重要ですが、「海外基盤を使っている=危険」という単純化も適切ではありません。大手クラウド事業者は高度なセキュリティ認証を取得していることが多く、むしろ小規模な国内ベンダーより堅牢な管理体制を持つ場合もあります。重要なのは、どのような基盤を使っているかを事業所が把握したうえで、自事業所として許容できるリスクの範囲を判断することです。
データ主権の観点は、法人内の情報管理規程や個人情報保護方針の中に「委託先選定基準」として明文化しておくと、担当者が変わっても判断がぶれにくくなります。「国内リージョンを選択できること」を選定条件のひとつに加える事業所も増えています。
データの越境移転に関する法的な整理は専門性が高いため、疑問がある場合は個人情報保護に詳しい専門家に確認することをおすすめします。Hope Care AIのデータ管理体制についてはセキュリティのページで、サービス全体の特徴は特徴紹介のページでご確認いただけます。
セキュリティのページで詳細をご確認いただけます。
監修
株式会社オルデンティアコーポレーション 福祉DXコンサルタント
福祉施設のDX・生成AI活用を専門に支援。本記事は現場の実務課題に基づき執筆・監修しています。